まだSNSが現在ほど盛んではなかった2010年。仕事の合間にアートイベントに出かけました。
そこで出展していた作家に「自分の作品を発信していきたいんだけど、ブログ以外に方法を思いつかないんですよね。雑誌とかに掲載されてみんなに知って欲しいんですよ。」と言われ、サラリーマン時代にフリーペーパーを作る会社に勤めていた経験もあったので、「そういう雑誌、あったらええな! なかったら作ろうか!」と心弾みました。
しかし、開かれたアートイベント会場ならともかく、コマーシャルギャラリーにはろくに入ったことも無かった私には、想像以上にイバラの道でした。
当然、最初は殆どのギャラリーにも相手にされず、アート業界の友人もいなかったので、展示やイベントの情報すら主催者からのお知らせは来ず、自分からネットで探して掻き集めないと形にならないという状況でした。
それを見ていた周囲の関係者の中には、「どうせ趣味で絵を描いてる人との仲間内で同人誌作るんでしょ?」と言われたり「そんなの夢みたいなことしたって創刊号が最終号になるパターンだよ。やめときな。」などと笑われました。
確かに業界人でもないのでコネも知識もキャリアも無いので、そう思われるのも理解はできましたが、逆に闘志に火が点き、仕事の隙間を見つけては、土日祝日など県外のギャラリーやアートフェアに走り回ってたくさんの作品を見てたくさんの人とお話をし、知識と人脈を作りました。「キャリアが無いなら短期間に集中して足で作ればいいやん!」と猪突猛進の性格も手伝ってノリノリで活動しました。決して苦労ではなくそれはそれで楽しかったんです。
その甲斐もあって、アートが好きな方々に、いま頑張っている若手アーティストの魅力を伝えて展覧会に行ってもらったり作品を手にしてもらうのを夢みて、情熱だけで業界に何のコネも無かった私が、なんとか2012年にHe-art(ハート)というフリーペーパーを創刊しました。
そして毎号毎号、1人の若手アーティストに取材のオファーをし、必ず実際に会って、その作品と人柄や歴史、そして裏話などをインタビューしては記事にまとめ続けました。
その他、展示情報、アートに関するトラブルの対処策の紹介、イレブンガールズのプロデューサー與倉豪さんによるコラム、展覧会レビュー、プレゼント企画等も掲載してきました。
2ヶ月に一度、コンスタントに6000部発行し、美術系の学校、ギャラリー等、関西を中心に全国に設置しました。
そうしているうちに、10代〜60代まで全国の読者様から温かい応援の手紙やメールもいっぱいいただきました。
(まれに誕生日プレゼントまでいただいたこともありました)

フリーペーパーが不足したり設置されていない地域の方や、バックナンバーも読めるように、隔月刊He-art電子書籍版も作りました。
これを作ったことにより、読者が一気に増えたという実感を持てました。
2ヶ月に一度発行のフリーペーパーだと、新しい展覧会やイベントなどの情報を更新できないということもあり、2015年05月にはウェブマガジンHe-art通信もリリースしました。
しかし・・・
時は流れ、紙媒体というアナログで効率も悪く、経費もかかりながら無料で配布するという無謀なスタイルを5年間続けてきましたが、赤字だけが膨らむという状況が続き、苦渋の決断ではありますが残念ながら隔月刊He-artも次回の29号をもって休刊することになりました。

クラウドファンディングをスタートした直後にも、毎日新聞社さんから取材に来ていただき、朝刊(2017/03/23)にも掲載していただきました。
感謝です!

今後も、アートの業界で何かの力になれたら幸いです。